
経済学大学院留学ガイド -ABOUT&LINK-
赤字は2009年9月加筆箇所。
巷に「留学ガイド」なる書籍はたくさんあるが、博士課程への留学(MBA や Law School などのプロフェッショナルスクールへの留学とは全然違う)を扱ったものは数少ない。また、専攻によって事情はかなり異なるので、「大学院留学ガイド」なんて本は全く役に立たない。インターネット上では、博士課程留学ガイドが比較的多く存在するが、経済学専攻を扱ったものは自分の知る限り、2002年4月の時点で無かった(2003年になって後輩の小島くん(Harvard大留学)が同様の趣旨のサイトを作ってくれた)。また、既存の大学院留学ガイドの多くは、TOEFL(こちらを参照)やGRE(こちらを参照)を必要以上に強調しすぎている嫌いがある。日本の「受験」とは異なり、アメリカの大学院に入るにはそのような試験の成績はそれほど重要ではなく、むしろ就職活動的な要素の方が重要なのである(面接はないけれど)。
以上のような情報不足を補うために、このホームページを作成した。読む前の注意点を以下に記す。
このガイドは、アメリカの経済学博士課程への留学を主に扱っている。
なぜ「アメリカ」なのか?それは、経済学の研究水準世界ランキングで上位を占めるのはアメリカの大学院がほとんどだから。最新のランキング(志望校選びのページを参照)によると、上位50校のうち、35校はアメリカの大学である(残りは、カナダ5校、イギリス4校、オランダ2校、イスラエル2校、フランス1校、香港1校)。
なぜ「博士課程」なのか?アメリカの経済学大学院は、学部卒でも博士課程に入る事ができて、修士号はドロップアウトした学生に与えられるのが普通である。修士課程のある大学もあるが、経済学の専門家を目指すのなら、博士号は取っておかないと説得力がない。
と、もっともらしい理屈を並べてみたが、要するに、作成者の私が、アメリカ以外への留学や修士課程への留学に詳しくないだけである。もしこれらについて詳しい方がいらっしゃれば、掲示板にいろいろ書き込んでいただけると幸いである。
なお、London School of Economics (LSE) についてのみ、自分が通ってるということもあるので、一つセクションを設けて扱うことにした(こちら)。
カナダの経済学大学院に関しての情報は、掲示板の書き込み no.58 を参照。
大陸ヨーロッパでは、Stockholm に経済学PhDコースがある(2009年9月リンク修正)。ミクロ経済理論に強い Stockholm School of Economics (SSE) 又はマクロ経済学及び応用ミクロ計量経済学に強い Stockholm University (SU) の経済学博士課程に入学すると、1,2年目のコースワークは両大学で共同で運営されるので、授業の質・分野の幅は悪くない。特に政治経済学に関心のある人にとっては魅力的。もちろん授業その他は全て英語。Stockholm に住むスウェーデン人は皆英語を話すのでスウェーデン語をしゃべらなくても生活にはそれほど困らない。また、ノーベル経済学賞の受賞者を推薦するのはスウェーデン人経済学者なので、アメリカにいる大物経済学者がしばしばストックホルムにやって来る(笑)。冬は氷点下になるけど、それはアメリカの東海岸や中西部と同じ。Stockholm University の Torsten Persson は、「Median レベルのPhD学生に対する value added は LSE の PhD プログラムより上だ」と豪語していました。
また、経済学部以外のPhDコースに出願するという手もある。Susan Athey ("Where to Apply" の項目を参照)は、幾つかのビジネススクール(Stanford GSB, Harvard Business School, Northwestern Kellogg MEDS)の博士課程も出願先として考えるべきだと言っている。実際、Stanford GSB は著名な経済学者(Paul Milgrom, Susan Athey, etc.)を輩出しているし(また、どういうわけだか政治経済学が強い)、Kellogg はゲーム理論に非常に強い。開発経済学を専攻したいのなら、UC Berkeley の農業資源経済学部(国際開発専攻の学生は、学部の枠を超えて UC Berkeley 全体で指導され、しばしば top school に就職する人が出ている)、開発経済学と政治経済学の接点を研究したいのならHarvard Kennedy School の PhD in Political Economy & Government(Harvardとその隣にあるMITにはここ数年で相当数の開発経済学者が集積した)は魅力的な出願先である。
なお、ここでいう「経済学」とは、いわゆる「近代経済学」のことである(英語では orthodox economics と呼ぶ)。マルクス経済学やオーストリア学派などの heterodox economics については、Lingua Franca's Real Guide to Grad School -Social Sciences- (絶版らしい)の第10章の What's Your Next Step? というセクションの後半を参照。どの大学が heterodox economics に強いかが書いてある。その他、heterodox economics については、掲示板の書き込み no.42, 45, 48, .52, 54 を参照。
このガイドが想定する読者は、日本の大学を卒業した人、又は卒業予定の人である。アメリカの大学から進学する場合の事情については、掲示板の書き込み no.9 を参照。
また、既にアメリカの経済学博士課程に留学したいという意思を持っている人を読者として想定している。留学の意義や大学院の経済学がどういうものなのか、といったことは知っていることを前提としている。なお、大学院の経済学がどういうものかについては、東京大学経済学部教授の岩本康志氏によるこのページを参照。また、大学院レベルの経済学の教科書については、大阪大学社会経済研究所教授である池田新介・大竹文雄両氏によるこのページを参照(阪大大学院生向けの文章であるが、経済学専攻の大学院生全員に当てはまる)。
このガイドの内容は、以下の三つのホームページによるところが大きい。
Pennsylvania の博士課程生によるもの。残念ながら閉鎖されてしまったが、自分が留学準備をする際には大いに参考になった。このページが情報源の場合、文末に(KS)を付けた。
Stanford (以前は MIT)の助教授によるアメリカ人向けの経済学大学院出願アドバイス。少なくともトップスクールについてはここに書いてある通りだと思う。なお、"NSF Fellowships"というのは、アメリカ人向けの奨学金。このページが情報源の場合、文末に(SA)を付けた。なお、このページは最近アップデートされたので、新しいページにもリンクしておく。(アップデート内容は掲示板no.691,692 を参照。)
世界中に展開している大学院予備校 Princeton Review のホームページ上にある掲示板。大学院出願やGREについての Q&A が盛んに書き込まれている。アメリカ人だけでなく、インド人、ブラジル人、イギリス人、シンガポール人など世界中の人が参加している。経済学専攻の話題も頻繁に書き込まれるので、非常に役立つ。何か疑問があったら、ここで書き込んで聞いてみると良い。この掲示板への書き込みが情報源の場合、文末に(PR)を付けた。
松本さん (Wisconsin で PhD 取得後、IMFへ)
郡山さん (Chicago で PhD 取得後、Ecole Polytechnique へ)
黒川さん (Minnesota で PhD 取得後、筑波大へ)
石瀬さん (BU): BU の一年目のコースワークの様子が書いてあります。
<English Speakers>
Chris Silvey (Cornell 1st year PhD 途中で自主退学) このページからアメリカ各大学の経済学PhD学生で日記を書いている人たちのホームページへ飛べます。以下はその中から有益そうなページを選んでリンクしたものです。
Benjamin Keys (Michigan 2nd year PhD)
Florian Thomas Ploeckl (Yale 2nd year PhD) 経済学PhDを目指す人へ向けたアドバイス&リンク集、及び日記。
Govind Acharya (Cornell 2nd? year PhD)
Keith David Gamble (UC Berkeley PhD)
Ngan Dinh (Chicago PhD) 残念ながら1年目のコアコース突破に失敗してしまったらしい。
P.S.Babcock (UC San Diego PhD) 今年(2004/5年度)、ジョブマーケットに出る(つまり就職活動)そうです。
Santosh Anagol (Yale 2nd year PhD)
Santosh Application Advice というところに経済学PhD出願のアドバイスが書いてあります。
Vinayak Nagaraj (LSE MSc)
LSE の経済学修士課程(MSc in Economics)在籍。お互いのホームページを通して知り合って、既に結構仲いいです(笑)。
Chris Reicher (UC San Diego 2nd? year PhD)
Princeton大学経済学PhDコースに留学中の安田君によるブログ形式の経済学PhD留学(兼1年目のコースワークの乗り切り方)アドバイス。
FAQ for PhD applicants by Department of Economics, NYU
NYU経済学部によるFAQ。非常に参考になる。(2009年9月リンク修正)
文部科学省中央教育審議会大学院部会(第23回)議事録(2004年7月30日)
青木昌彦スタンフォード大経済学部教授による、アメリカの大学院の研究教育指導に関する解説。当然、スタンフォード大経済学部の様子がメインになるので、経済学PhD留学を考えている人たちにとって興味深い。ホームページ上の日記を通してこのページの存在を教えてくれた手島さん、ありがとうございました。
東京大学大学院数理科学研究科の河東泰之教授による数学専攻の人向けのアメリカ大学院留学ガイド。専攻が異なるとはいえ、なかなか参考になる。 アメリカでのTA体験談は面白い。
Furman University という大学の経済・経営学部ホームページにある、経済学大学院進学ガイド。掲示板にて情報提供していただいた加藤さん、ありがとうございました。
USnews.com Graduate School Forum
上述の Princeton Review の掲示板と同趣旨の掲示板。こちらにも経済学大学院の話題がちらほら出てくるようだ。掲示板にて情報提供していただいた koyama さん、ありがとうございました。
Advise to apply to Grad School
Georgetown University の assistant professor Garance Genicot による経済学大学院進学ガイド。一部、上記の Susan Athey によるアドバイスをコピペしただけという気がしないでもない。
Writing Guidelines for Economics
Northwestern の Lynne Kiesling による、経済学論文での英語の使い方の注意。
Ph.D. Thesis Research: Where do I start?
Columbia の Donald Davis による、博士論文の書き方のアドバイス。
Princeton の Paul Krugman による、経済学モデルの作り方のコツ。
How to Build an Economic Model in Your Spare Time (PDFファイルへのリンク)
UC Berkeley の Hal Varian による、経済学モデルの作り方のコツ。
How to Publish in Top Journals
Iowa State の Kwan Choi による、経済学論文の publish の仕方。
Writing Papers: A Checklist (PDFファイルへのリンク)
Harvard の Michael Kremer による経済学論文執筆のチェックリスト。
Tips on preparing for a presentation
University College of London の経済学博士課程生向けに書かれた、プレゼンテーションのコツ。
その他様々な経済学者の卵向けのアドバイス集はこちらを参照。